心理相談室を開業するにあたり、一つの目的(目標)として、「カウンセリングをもっと身近なものにしたい」という思いがあった。それは今も変わらないし、常に模索している。
近年、心療内科の数は増加し、公認心理師(国家資格)ができるなど、心理カウンセリングを受ける体制は整ってきている。カウンセリングの需要も高まっている。実際、心療内科では、なかなか予約が取れないという場所も多く、それだけ必要としている人が増えている。また私自身、スクールカウンセラーとして勤務して10年以上になるが、ここ数年で心理相談室はかなり認知されるようになり、利用数も増加している。
そういった現状を見れば、カウンセリングを受けることへのハードルは、一昔前よりも低くなっていると言えるだろう。
心療内科や精神科を受診するケースの多くは、精神症状によって日常生活に何らかの支障をきたしており、自身か周りが困っている状況にある人である。うつ病や統合失調症、発達障害、不安症などの診断を受け、必要な治療を施される。治療の一つの選択としてカウンセリングを受けることになる。
しかし本来は、そういった治療を必要とする人だけでなく、どんな人にもカウンセリングは有用である。
海外、特に欧米ではカウンセリングは日本よりも身近で、カウンセリングを受ける人も、内容も多岐に渡っている。日本の場合、精神的な病気を抱えている人が受けるものという認識が根強い。つまり真の意味でカウンセリングへのハードルは下がっていないのではないだろうか。
カウンセリングのハードルが高いままなのに需要が上がっているということは、それだけ精神的に苦しい状態の人が増えているということで、現在の日本はより深刻な状況になっていると言えなくもない。
心の余裕がなくなって、カウンセリングを受けることはもちろん大事であるが、心の余裕があるうちにカウンセリングを受けることも同じくらい大事である。
私の所感では、日々の生活にストレスを感じていたり、悶々と悩んだり、精神的な理由から体調面での不調をきたしている人は決して少なくない。
日常に支障をきたす前に、日々のメンテナンスのような考え方で、カウンセリングを受けられる方が望ましい。